■プロフィール

海形将志

Author:海形将志
40代、独身、東京在住。仕事は翻訳業。米留学経験有り。

■最近の記事
■最近のコメント

■最近のトラックバック

■月別アーカイブ
■カテゴリー
■ブロとも申請フォーム
■ブログ内検索

■RSSフィード
■リンク
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
小説で地球環境問題を考える Part 18
地球環境問題を小説で説いてみようと思って書きました。自作小説ですが、環境問題を考えるための記事と思ってください。

熱帯雨林を守ろうと奮闘する環境活動家と破壊を進める国家及び企業の対立から浮かび上がる不都合な真実。

まずはPart 1からPart 17を読んでください。


「ミスター・イシダ、大変です」
と秘書がドアを開け、書類を読んでいた英明に駆け足で近寄ってきた。手には雑誌を持っている。
「どうしたんだ。突然、ノックもせず入って来て、何事だ」
「この記事を読んでください」
 秘書は、雑誌を手渡した。ニューズマンツリーという有名なイギリスの雑誌だ。この雑誌は世界中で読まれている。英明は、不安を覚えながら、さっとページを開き、その英文の記事を読んだ。記事のあるページには、見覚えのある場所の写真が載っていた。
 英明は青ざめ、仰天した。
 記事の見出しは、『スワレシア政府と日本企業の企む環境破壊と人権侵害』だった。
 その日本企業の名前は、アケチと実名で記されている。ダム水力発電所建設計画に関係して起こった様々な出来事がこと細かく記述かれていた。
 そもそもが計画の発表が建設予定日の二ヵ月前という突拍子もない時期であったこと。周辺に住む地元住民の反対集会を政府が力で抑え込み中止させたこと。周辺住民や森の中に住む原住民を無理矢理立ち退かせようとしていること。また、膨大な面積の熱帯雨林が伐採される運命にあり地球にとってはかけがえのない自然の宝庫が失われていくことなどが事細かに記されていた。
 記事の内容は、明智物産にとっては、とんでもないイメージダウンとなるものだった。国際的批判を受け、これからの業務に支障をきたすことは間違いない。
 だが、まさかダム建設が中止にはなったりするまいと英明は思った。
 反対など、最初から予想されていた。だからこそ、ぎりぎりになって計画を公表したのだ。莫大な金がすでに動いている。明智物産は、スワレシア政府から、巨額の建設費用を受け取っている。そして、、明智物産は、あの通産大臣に、自分を通して莫大な賄賂を渡したのだ。
 日本国内の事業では慣例としてきたことだ。役人に賄賂を渡し、自分達の企業に便宜を図ってもらうこと。公開入札などと称しながらも、落札できる相手は事前に決まっている。日本企業は、外国に出ても、同じことをやるのだ。今度のダム建設入札も、そのいつものありきたりのやり方で仕上げたことだ。
 とんでもない事態が起こるようであれば、あの通産大臣にまた頼もう。あの男は、金を渡せばどんなことでもやってくれる。この事業は、何としてでも成功させなければ。これらすべて会社のためだ。いずれ自分のものとなるあの会社のためなのだ。
 ドンっと、男が入って来た。スワレシア人の部下である。
「ミスター・イシダ、大変です。建設予定地の周りで地元住民と環境保護団体のデモが行われています」
 英明は、体が震えた。怒りで体が震えたのだ。環境保護団体とは、英明が、この世でもっとも軽蔑視する集団だ。彼らは、無知で妄想に取り憑かれた理想主義者たちだ。自然保護などという文句を使って、会社の事業の邪魔を徹底してしたがる。そして、利益追及で生きている資本家を悪魔呼ばわりする。自分達が、この世で唯一の正義漢とでもいいたげな顔をする。もっとも一番の悪魔は、奴らだ。
 自分達の毎日の生活が、どれだけ環境破壊に基づいて支えられているのかまともに知ろうともしない。集会に行くのに乗る車、それが出す排気ガスが、どれだけ大気を汚染しているか。熱帯雨林の伐採反対だと、その伐採された木で作られた家具のある家で普段は優雅にくつろいでいるくせに。
 どの道、奴らはただの愚か者でしかない。一つの建設事業が波及する経済効果というものは、多大なものだ。周辺の住民には職を提供出来る。スワレシアの産業は、膨大な水と巨大な発電源を手に入れることによって、さらなる発展を遂げることになる。周辺の住民には、優先的にダムでの職と当面の保障金を提供する。貧しい農村暮しより、ずっと割りのいい給料がもらえるのだ。反対する気などすぐに失せてしまう。環境保護団体は、祭りで騒いでるように「反対、反対」を唱えるだけ。いずれは飽きて立ち去るだろう。
 英明は、スワレシア人の部下の方を向いて言った。
「君、すぐにブルドーザーとその他、伐採のための準備を指示してくれ」
「しかしまだ、建設開始日には、間がありますが」
「待ってなんかいられないさ。愚か者どもにさっさと現実を教え込ましてやりたいんだ」
 英明は思った。これはいい機会だ。どうせなら派手にやろう。派手にやって世間の注目をこれまで以上に集めるのだ。そうすればあの女、由美子は正義感に苛まれ、解決策として自分と結婚するしかないことを思い知るだろう。



続きを読む >>
スポンサーサイト

テーマ:仮想物語 - ジャンル:小説・文学

地球環境問題 | 21:18:38 | Trackback(0) | Comments(0)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。