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海形将志

Author:海形将志
40代、独身、東京在住。仕事は翻訳業。米留学経験有り。

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ポジティブ・コーチングを考える小説 第6章
元近鉄バッファローズのコーチで97年NYメッツでもコーチとして活躍した立花龍司氏の著作「ポジティブ・コーチング」から発想を得た短編小説

まずは第1章から第5章をお読み下さい。


 遠藤医師は説明を続けた。俊秀が、日課としてやってきた兎飛び、足を真直ぐにして上体を持ち上げる腹筋運動、腰にロープを巻いてタイヤを引っ張る運動、これらは筋力増強にはあまり役に立っておらず、むしろ、無理な体勢により体の重心となる腰に余計な負担をかけることとになっていた。結果、ヘルニアを引き起こす原因ともなったのだ。
 また、毎日連続して休むことなく筋肉トレーニングをやってきたことにも問題があった。筋肉とは、ある程度休ませなければ筋力増強にはつながらないからだ。筋肉は一度運動を経験すると筋肉を構成する筋肉繊維が痛めつけられ、トレーニング前よりパワーを失うが、それが元の状態へと回復する時に以前より筋肉を構成する筋肉繊維が太くなりパワーを増強させる仕組みになっている。いわゆる「超回復」だ。適度に運動すれば、それに対応して適度に体を休ませなければいけない。ひたすら筋肉を痛めつけてしまったため、腰を中心とした体全体を支える力を弱めてしまう結果となったことが考えられる。そのうえ、試合となればエース投手の俊秀は連日登板で筋肉を使い続ける。
 俊秀は、休んでは体がなまってしまうと思い込んでいた。つらいが、筋肉を常に動かし続けなければいけないと今まで信じ込んでいた。俊秀に限らず、野球部の監督、部員、皆が信じてきたことだったのだ。兎飛び、足を真直ぐ伸ばして上体を持ち上げる腹筋、タイヤ引き、これら毎日休まずこなしてきた筋力トレーニングのメニューが、裏目に出てしまったことは悔やんでも悔やみきれない。
 さらに、俊秀の神話を覆すことを遠藤医師は話した。

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テーマ:誰かに伝えたくなる、話。(*´ー`) - ジャンル:小説・文学

スポーツ | 22:17:48 | Trackback(0) | Comments(0)
インペリアル・ホテル 第11章 婚約者に出会う
タイムスリップ・ファンタジー、真実の愛を求めて現代から大正時代へ。

まずは序章から第10章をお読み下さい。


 ああ、あの平塚雷鳥かと敬介は思い出した。
「ああ聞いたことあります。中学の頃、歴史の時間で習ったことが・・」
 あ、しまったと敬介は思った。歴史の時間、大正デモクラシーを習った時に、その婦人運動家であった平塚雷鳥が創刊した婦人運動雑誌「青鞜」の発刊宣言文の冒頭に書かれた有名な言葉だ。だが、今はその大正時代だ。
「歴史の時間ですって」
と小夜子が不思議そうな顔をすると
「いえ、勘違いで、最近、有名な方ですよね。確か婦人運動で」
「ええ、そうですわ。まさに新しい女性を目指している方で、男女の新しい生き方を模索していらっしゃる方ですわ。男の方と共同生活を送られていて、お子さまもいるのだけど、互いに籍に入っていないんですって、今の結婚制度は男女が対等に生きるためのものになっていないからだと」
 へえ、平塚雷鳥って、この時代に事実婚をしていたのか。学校でさらりと習った程度で詳しくは知らなかったが、さすがは日本のフェミニズムの大家だけはある。
「結婚すれば妻は夫のもの、いえ、夫の家のものになる。それでどうして男女がお互いを尊重しあえるのかって仰っていますわ」
「お会いしたことがあるのですか」
「ええ、昨年、法律の改正で女性も政治集会に参加できるように改正になった際に、私が雑誌のインタビューをするために、先生は意気込んでいましたわ。次は投票権だって」
「確かアメリカやドイツでは婦人参政権が認められている時代ですよね。日本も追いつけということですか」
と敬介。歴史の教科書でそう書かれていたのを思い出して言った。
「ええ、でも、平塚先生は、この運動は西洋かぶれな運動ではないと仰られておられましたわ。これは日本女性の本来の姿に立ち戻る運動だって。だから、「元始女性は太陽であった」という言葉を思いついたんですのよ。平塚先生が言いたかったのは、何も新しい考え方を採り入れるわけではない。かつては天テラス、つまり太陽神として崇められた私たち女性が、光を失い、月のように他の光でしか輝けなくなったのを、再び元のように自ら光る太陽へと返り咲こうという意味です」
と生き生きとした表情で小夜子嬢は言う。とても輝いている。なるほど、こんな考えの女性なら家同士で決めた結婚に縛られるより駆け落ちでもしたくなるものだろう。
「私思うんです。平塚先生も仰っていたことなのですけど、男尊女卑は、女性だけでなく男性にとっても損なことではないかと、個々の持った本来の性質を削いでしまう男女ともに不利益を被ってしまう考え方ではないかと」
 彼女の顔が、急に堅く重苦しくなった。やはり直面する現実は重すぎるということか。理想は所詮は理想でしかない。敬介は、ふと切ない気持ちになった。当時の女性は、敬介の生きていた時代では当たり前だとされていた自由が、かなり制約されていた。保守的な方の敬介でも、女性に選挙権がないことなどとてもいびつに思える。それに、親同士が決めた結婚を拒否することができない制度など、女性のみならず男性にとっても、嫌な制度だ。
「小夜子さん、偶然ですね、こんなところで会うなんて」


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テーマ:ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

帝国ホテル | 21:55:03 | Trackback(0) | Comments(0)

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