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海形将志

Author:海形将志
40代、独身、東京在住。仕事は翻訳業。米留学経験有り。

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日本昔話的小説: 雪のように白い肌の女 第6章 ゲストリスト
雪山で出会った雪女のような女と約束したこととは。

まずは第1章から第5章までお読みください。

パーティーのドレスコードとして、男はタキシードということだったが、そんなものを亮は持っていなかった。だが、さすがファッション雑誌である。在庫の中にたくさんあって、その中の一つを借りることにした。

秘書もすっかりおめかしして、地味だが、胸のはだけたイブニング・ドレスを着ている。だが、彼女はデスクでアルバムのようなものに目を通している。パーティー会場にこれから向かうというのに、忙しそうな様子だ。亮は声をかけた。
「どうしたんだい? そろそろ行く時間じゃ?」
「うーん、だけど、その前にゲストリストにしっかりと目を通していないと、何度もみているんだけど、招待客全員のことを私は覚えないといけないの。主催者の編集長のそばで、ゲストを迎えるたびに私がささやいておしえないといけないの。今回は初めて招待する客も多いし、大変。顔と名前は全部、覚えていないと」
「でも、時間だよ」
「そうね」と彼女はアルバムを閉じ、亮と一緒にエレベーターへ向かった。

エレベーターの中で、亮は「よかったら、そのゲストリスト見せてくれないかな。僕もRUNWAYの一員だし、ゲストがどんな人だか知っていないといけない」と秘書にいうと、
「いいわよ。ちょっとだけよ。私は車の中でも、見直さないといけないから」といい、亮に渡す。開くと、ゲストと思われる人々の写真が貼られ、その横に名前、経歴などの情報が書き込まれていた。亮は、さらさらとページをめくり眺めた。

1階についてエレベーターを降り、玄関ホールを抜け、待っていた車の後部座席に秘書と一緒に乗り込むと、亮はアルバムを彼女に返した。



それから10分ほど車に乗って着いたのは、神殿のような建物で、大きなパーティーホールだった。すでに数十人ほどの人でごった返していた。RUNWAYの社員と専属のモデルたちが主に集まっている。いわば、ホストの立場である。だが、これから百人以上のゲストが来るというのだから、かなりの規模だ。みな、男はタキシード、女性は豪華なドレスを身にまとっている。編集長も、主催者にふさわしい目立つようで派手さはやや控えたセンスあるシックなドレスをまとっている。

秘書は、すぐに編集長の横につき、新しいゲストが来るたびに何かささやいている。亮はシャンパンを飲みながら秘書の様子を眺めていた。表情を見る限り自信なさげだ。亮は、二人に何気なく近付いた。

背の高いタキシードを着た中年男が、二人の女性に近づいてくる。ニコニコ顔だ。秘書は編集長に言った。「チェルシー劇団の演出家であるロバート・ガブリエル様です」すると編集長は「こんばんは、ロバート。調子はどう?あなたの劇は必ずみているのよ」とわざとらしい笑顔をつくって話しかける。ロバートは嬉しそうに応える。

何とか切り抜けているがたどたどしい。現場ではアルバムを広げたりできない。すると、次に男女のカップルが現れた。一人は50代ぐらいにみえる中年紳士だが、もう一人はかなり若い女性。二十代前半といっていい。親子に見える組み合わせだ。

秘書はどぎまぎしている。
「ねえ、いったい誰なの? どうやら初めて招待した方々のようだけど?」と編集長が秘書に答えを求めている。
「あー、どうしよう。思い出せない」と秘書は泣きそうな表情で言った。とても困っている。
「スペイン大使のドミンゴ様ですよ。お連れの女性は離婚の原因となった愛人の女性、リリーさんです」と亮が代わりにささやいた。
大使が近づくと、編集長は「セニョール・ドミンゴ ようこそいらっしゃいました」と声をかけた。大使が去った後、秘書は亮に「ありがとう。助かったわ」と言った。「いいや、たまたまアルバムでみたのを覚えていたから」と亮は平然と返した。
その後も、亮は二人に寄り添った。秘書が答えに困ったところで、亮は助け船をさっと出した。秘書は、そのたびに助かったという表情になったが、同時に亮を不可思議な表情でみた。
「どうして、そんなに覚えているの? みんな新しく招待する人で、私でさえアルバムで初めて知った人ばかり。さっきアルバムをみただけでそんなにどうして覚えられたの?」ときいた。
「君も知っているだろう。僕は覚えがいい方なんだ」と平然と交わした。
と、また新たなゲストが。女性だ。だが、彼女を見た瞬間、助けは必要ないことは明らかだった。もっとも、彼女は招待リストにはない人物だが、秘書も編集長も、そして、亮を含めた誰もが知っている人物。編集長は、その招待していない飛び入りのゲストに対して、他の誰に対してよりも大きな笑顔をつくって迎え入れた。
「エヴァ、今晩は。来てくれてうれしいわ。てっきり今あなたはニューヨークにいないと思って招待しなかったのだけど」
「ニューヨークは私にとって、故郷のようなところよ。映画の撮影のためロサンゼルスにいたのだけど、撮影も予定より早く終わったから、是非とも、またあなたに会いたいと思って来たの」
「そうなの。あなたはいつでも大歓迎よ」と二人はかたい握手をする。
周囲もざわめいた。「おお、エヴァ・シャラポアが来たぞ」と歓声が上がった。
女優にして世界的なスーパーモデルのシャラポアだ。編集長の握手の後に、エヴァはそばにいた亮を見つめた。
「こんばんは」と言って右手を差し出す。亮は緊張しならも右手を差し出し、お互い握手をした。彼女は間近で見ると、艶やかでものすごく美しい。絶世の美女といってもいい。そして、透き通る白く美しい肌。まるで雪のように白い肌だ。
「初めまして、お会いできて光栄です。ミス・シャラポア」と亮はにっこりと笑って応えた。

第7章につづく
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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

軽小説 | 00:27:33 | Trackback(0) | Comments(1)
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2014-07-03 木 15:17:51 | | [編集]
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