まったり屋の小説広場

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D.H.ローレンス作「チャッタレイ夫人の恋人」について

何年か前に完訳版ができたということで買って、読んだ。

ストーリーは、20世紀初頭のイギリス、上流階級のご夫人レディ・チャッタレイが、半身不随の夫との生活に嫌気を差し、森番の男と不倫してしまう性愛物語。

これが最初日本で出版された時は、一部、性表現の箇所が検閲にひっかかり削除され、その上、翻訳者がわいせつ罪で有罪判決を受けるという事件が起きたほど衝撃的だったとか。

だが、今となっては、漫画でも、これに勝る性表現が溢れている。AVで、堂々と性行為が映しだされている。文字だけで、それもこの程度の表現で猥褻だとか言われるとは、昔はいかに性に対する引き締めが強かったということか。

というか、この作者のローレンスは、そういう時代の価値観こそが、人間を歪めているんだと言いたかったのではと思う。最初の行の言葉は、そのことを如実に訴えている。

「現代は、悲劇の時代である。」

この社会が、なぜこれほどまでに富と権力を美徳とするのか、それは、この小説で表されているように人間が性の自由を奪われたことが原因しているのではないかと、性について語ることをはばからなければいけないほど、人々は、己の魂の自由を奪われてきたのではないかと。

環境問題でも、そうだが、そういうことが、ものへの執着の源泉となっているのかも知れない。

人々は、もっと性について語るべきである。結論として、そんな感想をもつストーリーだった。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

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