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海形将志

Author:海形将志
40代、独身、東京在住。仕事は翻訳業。米留学経験有り。

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性を考える小説「セックス・ティーチャー」 第2章 元教え子
ある体育教師が元教え子からとんでもないことを頼まれる。それは男を驚愕の世界へと誘うことに。

 まずは第1章からお読み下さい。

 二人は学院近くの喫茶店にいた。中は空いていて、二人以外にはサラリーマン風の客が一人カウンターに座っているという程度であった。二人は隅の壁際のテーブルの席に座っていた。顔を合わすのは三年ぶりだ。山口夏美といったかな。以前、体育教師だった頃、受け持っていた二年生のクラスの一員だった。
 その学校は、私立K学院のあるK町から電車で三十分ほど離れたT町にあった県立T高校。同じN市にありながらK町とT町は山の手と下町のような違いがある。
 その意味で夏美はT町の生徒の典型であった。担任教師から聞いた話だと彼女は中学生の時に両親が離婚。その後、母親と弟で暮らしているのだが、経済的には厳しく、授業料や給食費をよく滞納していたと聞く。
 食事を抜いて授業に出ていたと分かる時もあったくらいだ。そんな時は、彼女に無理をさせないように篠塚は心掛けた。
 そして、授業が終わった後、彼女を食事に誘い、もちろんのことおごった。彼女以外の生徒にも、時々同じようなことをした。
 特に夏美には目をかけた。彼女は、体育では同学年女子の中ではトップクラスの運動神経であり篠塚は彼女に五を与えた。
 彼女自身、自分の運動神経を活かした職業に就きたいと語っていたのを覚えている。何でもダンサーになりたいと。確かにダンスには向いている運動神経をしていた。体が柔らかく百八十度の開脚が自由自在に出来た。どんなスポーツをさせても動きが機敏だった。そのうえ顔とスタイルが抜群ときている。
 そのせいもあってか、特に彼女には目をかけた。
 だが、あんなことがあってから、彼女とは顔を合わせられなくなった。しかし、それは彼女のせいではなく篠塚のせいである。だからこそ、篠塚は自ら去った。そうしなければならなかった。
 あれから三年、今の夏美は当時に比べると見違えるほど大人っぽく色っぽい女性に変身してしまっている。あの時でさえ美少女という言葉がぴったりであったが、それに輪をかけたように大人びた魅力が付加されている。今は化粧に少し茶色に染めた長い髪の毛、体にフィットしたワンピースのミニスカート、足にはハイヒールを履いている。完璧な大人の女性だ。あどけなさはすっかり消えている。
 さぞ、男にもてるのだろうと思える。篠塚も思わずじろじろと見つめてしまう。
 洋食屋で夕飯ということにした。
「久しぶりだな。元気にやっているか」
と俊雄は言った。気まずい面持ちのままではいけないと思い軽い会話をすることにした。
「ええ」
と夏美は笑顔で応える。もう先生と生徒という間柄ではないということはお互いの共通認識になったかのようだ。
「そういえばダンサーになりたいとか言っていたな。どうなんだ」
「しっかりやっているわ。先生のおかげかしら」
「俺のおかげ、どういうことかな。ダンスは体育の授業で教えるのは担当ではなかったと思ったけど」
 現にそうではなかったし、男子に対しても女子に対してもT高校ではダンスを教えるカリキュラムは体育の授業になかった。
「でも、先生のおかげ」
と微笑む夏美。実に可愛らしい笑顔だ。微笑む可愛らしさは当時のままだ。俊雄はほっとした。何と言っても、気掛かりでならなかった。大変な境遇で生きている健気な女子生徒である彼女が、その後、どうなったか気になるのは受け持った教師として当然である。
 俊雄は注文したコーヒーを飲み、言った。挨拶ではなく本題となることだ。
「頼みって何だ。俺にしか頼めないことって言っていたよな」
「ええ、そうなの」
「ほう」
「先生に私の出る舞台に出て貰いたいの」
「は? 舞台って、ダンスのか」
「ええ、そうよ」
と夏美は怪訝な表情をする。俊雄の反応を予想していたかのようだ。
「俺にはダンサーは無理だ。体育はやっているが、ダンスはあまり経験もないし得意でもない」
と俊雄。事実そうである。体育教師として研修としてフォークダンスとか社交ダンスの初歩的なことを習ったことはあるが、しっかりと身につけたわけではない。教えることもできなければ、自ら公に披露して踊ることさえもできない。それにダンスはスポーツというより舞踊であり芸術の分野と捉えている。
「舞台で私と踊るのではないの、絡み合って貰いたいの」
と夏美が思わぬことを言う。
「からみあう? 何のことだ? もしかして格闘技か」
 実のところ、格闘技も得意分野ではない。体育の研修として柔道、空手、合気道、レスリングなどを学習したことはあるが、それも教員として教える資格を取得するまでに至っていない。あくまで学校の基礎教育としての体育の教員資格だ。特化した種目は、テニスとスキーである。
「格闘技ではないの、ある種のパフォーマンス?」
「パフォーマンス? 芸ごとでもしろというのか」
 夏美の表情がなぜかかたくなった。
「先生、本番ショーって知っている?」



「本番ショー? さあ、何だそれ?」
「ストリップで踊り子がお客と舞台でからみあうものよ。裸になって」
「ストリップ? もしかして、ダンサーというのはストリップで踊っていることか」
 俊雄は凍り付く表情になった。目の前の夏美がストリップ嬢、あのあどけない女子高校生だった彼女が。
「そうよ、先生。私、ストリップで踊るダンサーなの?」
 ストリップが何であるかぐらい俊雄にも分かる。そんなところには近付きたくもないと思っているが。
「どうして、そんな」
「先生、分かっているでしょう。私のような三流高校出で何の取り柄もなくて、あるとしたらこの外見と踊ることぐらいしかないとしたら、そんな仕事しか選ぶことが出来ないことくらい」
「そんな、仕事なんか探せば、ストリップ以外にもたくさんあるだろう」
「先生、分かっているでしょう。お金がたくさん必要なの。私の母さん、今は病気になって働けなくなって入院とか治療にお金がかかるばかりで、おまけに弟は大きくなって、これからいろいろとお金が必要だし、ストリップならば一月で百万円ぐらい稼げるの」
「だが、いくら何でもストリップか。君は裸になって人前で踊ることは平気なのか。いくらお金のためとはいえ、そんなことを恥ずかしいとは思わないのか」
「恥ずかしい? 私と家族が食っていくため、生きていくためだもの、何でもするわ。先生には、こんな私の境遇なんて分かりやしないのよ」
と夏美はきっと睨むように言う。彼女のいうことはもっともだと思った。そんな苦労など知らないものがとやかくいう問題でもないだろう。まだ、彼女が教え子だった頃なら、もっと説教して辞めるよう説き伏せるつもりだが、今の彼女は自立した大人だ。年齢も二十近い。
 しばらく沈黙が続いた後、俊雄は言った。
「それでどうして俺が一緒に舞台に立たなければいけない。君が裸で踊るだけではいけないのか」
「今、私が所属しているエージェントからの命令なの。これまでは客の前で裸で踊っているだけでよかったのだけど、今度からは週に一度は本番の舞台で客の相手をしろと」
「それはひどい要求だ。拒否しろ、それに訴えることだってできるはずだ」
「そんなことをしたら、首にされるだけよ」
と突っかかる夏美。この手の議論は続けられないと俊雄は思った。
「だからって、なぜ俺が君の相手をしなければいけない」
「先生ならいいと思うの。他の人の相手をさせられるくらいなら。舞台に立って本番ショーになれば、手を挙げる客ならどんな男でも拒否できない立場よ。だから、先生に私のショーに来て客として手を挙げて私の相手になってほしいの」
「相手になって何をする?」
「私と裸になってからみ合うの。つまりセックスよ」
 俊雄は呆れ顔になった。
「ふぜけるな。人前でそんなことできるか。俺にそんなこと頼むな」
「先生でないと頼めないの。先生なら安心できる。要は舞台で絡んでいる振りさえしていればいいの」
「それでもお断りだ。冗談はよしてくれ。振りであろうと、そんなこと俺ができるはずないだろう。するつもりも全くないし。第一、ストリップなんてところにも行く気にもなれないぞ」
 俊雄は、むっとした表情になった。夏美は、困ったような表情になった。これで終わりかと思ったが、夏美はぎょろりとした目で俊雄を見つめ言った。
「先生って、まだ独身なの?」
「何だ突然、ああ、そうだが」
「高校の時から変だと思っていたのだけど、先生って、こんなに男前でみんなに人気があるっていうのに、どうしてまだ独身なのだろうって。もしかして、先生はどこかその辺に異常がある人じゃないのかって、噂があったくらいよ。私もあの時、あんなことをした先生を見て・・」
「言うな」
と俊雄。絶対に思い出したくもない出来事だ。俊雄と彼女しか知り得ないことだ。彼女が、あのことを他の誰かに喋ってさえいなければ。
「安心して。誰にも話していない。私だけの記憶に留めていることだから。先生と私だけの秘密よ」
 俊雄は、気まずい気分と表情になった。彼女に弱みを握られている気分だ。最も、彼女が話したところで、どうってことないともいえる。彼女の言うことなど、いい加減なデタラメだと一蹴してしまえばいいんだ。
「先生、私、あれ以来、男の人に関心を持たずにいれなくなって、いろいろな男性とどんどん付き合うようになったのよ。いろいろな男の人の味を覚えていったわ。だから、この業界にも入った。先生のせいね」
「じゃあ、君は、もう処女ではないというのか」
と俊雄は夏美を見つめきく。
「当たり前でしょう。先生が目覚めさせてくれたようなもの」
 夏美は得意気な顔になって俊雄に言った。
 俊雄と夏美は、またコーヒーを頼んだ。そして、もう一杯のコーヒーを飲み干した後、夏美は俊雄に封筒を渡した。封筒の中には、夏美が本番ショーに出なければいけないストリップ劇場「情欲の館」のチケットが十数枚入っていた。毎週土曜の夜間ショーのチケットだ。この劇場があるのは、K町から電車で二時間ほど離れたS市のS町だ。顔見知りはあまりいないと思われる。
 夏美は、これから三ヶ月の契約で、この劇場で毎週土曜の午後九時からの舞台でストリップと、その後の本番ショーに出演しなければいけない。この契約が終われば、本番ショーなど出なくて済む。それどころかある程度の大金が貯まりストリップ嬢という仕事から足を洗うつもりでいるという。だから、今だけの我慢だと。
 しかし、俊雄は嫌々ながら受け取った。あくまで受け取るだけで行くつもりなどないと伝えた。夏美は、来る場合の交通費分一万円ほどを渡そうとしたが、俊雄は、その受け取りをきっぱりと拒否した。行くつもりはないのだから貰うわけにはいかない。こんなこと頼まれるつもりはないと拒否する態度には変わりないのだ。
 夏美には、ちょっとした負い目と不遇な立場に対する同情心から、わずかな希望でも持たしておこうと思い劇場の入場チケットだけ受け取ってやったつもりだ。どうせ使うこともなく捨てる運命にあるチケットだ。

 第3章につづく
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テーマ:恋愛:エロス:官能小説 - ジャンル:小説・文学

| 01:55:28 | Trackback(0) | Comments(0)
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