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海形将志

Author:海形将志
40代、独身、東京在住。仕事は翻訳業。米留学経験有り。

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原発問題を考える小説: 記憶 第1章 穴倉
原発ターミネーター」につづく原発の深刻な問題を問いかける。軽小説スタイルで。

地質学者のリヒャルトは、地下600メートルの穴倉にいた。

ここは、とあるヨーロッパの国の森林地帯の真下にある。何でも、高濃度核廃棄物を埋蔵し保管する施設だそうだ。核廃棄物は、原子力発電所から送られてくる。世界中に25万トンあるとされている。その多くは、このような地下埋蔵施設に送られ保管されるのだそうだ。

核廃棄物は、キャスクと呼ばれる金属とコンクリートの容器に入れられ運ばれてくる。リヒャルトは、この施設の建造における掘削のための地質調査員として雇われた。当然のことだが施設は頑強に造られなければならない。そのためには、掘っていく地層の地質を綿密に調べる必要がある。主に粘土層と呼ばれるところが最も適しているといわれる。

なぜ、こんなに地中深くに埋めて保管しなければいけないのか、それは核廃棄物は地上で保管するには大変危険な代物だからだ。いざ、廃棄物が空気中に放たれると、大変有害である。放射能を撒き散らし、人体や生物に害をもたらす。被曝により細胞の遺伝子が傷つけられ、例えば、癌や白血病を患わせ、妊婦が受けると胎児は障害を持って生まれてくることがある。場合によっては、死に直結することもある。

だから地中に埋め込み、そんな危険物を閉じ込めてしまおうという考えなのだが、この施設は、他の地下施設とは、ちょっと違った複雑な事情がある。それは、施設を完成させ、廃棄物で満杯にした後、封印をする。その後は、半永久的に誰も立ち入らせないようにしなければならない。

なぜか。


核廃棄物が無害になるためには10万年もの歳月が必要になるからだ。核廃棄物は放置できない。確かにキャスクに入れられ放射能は閉じ込められているが、キャスクの金属やコンクリートは劣化していき、1000年もすれば亀裂が入り、そこから、漏れが起こることになると予想される。そうなったら、施設の中は放射能で充満する。その放射能が地上に漏れないように、しっかりと閉じ込めなければならない。施設のある地中は、粘土層という最も頑強な地質をしている。なので、その点は、安心できるかもしれない。

だが、問題なのは、誰かが、封印された施設を、こじ開けるかもしれないということだ。こんな危険な施設に好き好んで入ろうとする奴がいるのか。いるかもしれない。もし、この施設の存在と危険性が誰にも知られることがなくなる未来の時代、誰かが好奇心で入ろうとするかもしれない。

それを防ぐためには、この施設の危険性をずっと知らせ続けないといけない。それも10万年以上もの間、ずっとである。何千もの世代を通して、記憶を伝承し続けなければいけないのだ。果たして、そんなことが可能だろうか。
施設の入り口に「危険だから立ち入り禁止」と標示を立てても、未来の人間が、その言葉や記号を理解できるだろうか。未来永劫に渡って伝承する方法などあり得るのだろうか。

ある日、リヒャルトは、休暇を取ることになった。1カ月程の休養をゆっくり取って、また、戻ってくる手筈となっている。休暇中はどこにいようか、とりあえず家でゆっくりしようと思った。そんな折、友人で考古学者のインディから電話がかかり、仕事の依頼を受けた。南米で、とんでもない発見をしたのだと興奮して話した。

おそらく人類史上、最古の遺跡を発見したのではないか。あのピラミッドよりも古い遺跡に違いないものが、南米のジャングルで発見されたそうだ。地中深くに掘られた地下にあるそうだ。その入り口を見つけたのだと。地質学者のリヒャルトの力がどうしても必要なので、急きょ来てほしいと。

第2章へづつく
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

原発 | 13:30:03 | Trackback(0) | Comments(0)
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