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海形将志

Author:海形将志
40代、独身、東京在住。仕事は翻訳業。米留学経験有り。

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アレルギー小説「日本男児をやめられない」 第2章 褌と浴衣
高温多湿の日本に来てゴム・アレルギーにかかったカナダ人が体験する日本の伝統文化とは。

まずは第1章をお読み下さい。

身につけ方は実に簡単であった。白くて長い布きれを垂らすように紐が上両端に通っている。紐をへその下で結び、尻から垂れた布をまくり上げ、結んだところまで引き寄せ、紐の下をくぐらせ、それを、また紐の上に垂らした状態にする。だらりと長い布が股間の間に垂れた状態になる。
褌


なんでも、日本では、医療用に入院患者が長時間ベッドで寝そべる時、快適になるように身につけさせているという。だが、ガイジンのジャックにとっては、全くの未知の体験だ。

試しにつけてみたものの、なんとも不思議な下着だ。ゴムではなく、紐で腰を締め付けられる感覚。それは、ブリーフでもトランクスでも味わえない感覚だ。鏡で自分が褌を身につけた姿を見ると、びっくりであった。これは、カナダでは先住民が身につけているものに似ている。

ブリーフのようで、トランクスでもあり、どちらでもない機能がある。つまり、ブリーフのように大事なものを包み込むが、同時にトランクスのように隙間があるので、通気性がいい。高温多湿な日本ならではの下着なのだと思った。

百合子は、ジャックの褌姿をみて、大いに喜んだ。「とってもセクシーよ」と。泰蔵も、「おう、褌かい、にあっちょるぞ」と言ってくれた。だが、泰蔵は、こんな褌は着たことがないという。ジャックは、それを知って驚いた。なんでも、泰蔵の父親、百合子の祖父の世代以前なら普通に着ていたが、泰蔵の子供の頃から日本の下着の主流は、ブリーフかトランクスになっているという。つまりは、日本人が着物を着なくなったのと同様に、下着も洋服に合わせて変わったということだ。確かにそうだ。ズボンを上から履くと、褌には困ったことがある。それは、小便をするためチャックを開けて、一物を取り出そうとする時、布が邪魔してやりにくいのだ。長い布が、チャックの前でくるまってしまう。

「ねえ、だったら浴衣を着ない?」と百合子が薦めた。


夏用の日本の着物だ。これは面白い、せっかく日本に着たのだから、是非とも着物を試してみたいと思った。

百合子は、商店街に出かけて、ジャックにあいそうな浴衣を見つけ身につけさせた。浴衣はたった一枚の布をマントのように羽織りそれを前で重ね合わせ、そして、帯で締める。何度も日本文化を紹介する本などで写真を見たので、どんなものかは知っていたが、いざ身につけると、気分が一気に変わる。まず、ズボンと違い、当然のことながら動きにくい。なんだか、スカートを履いているようだ。だが、洋服と違い、褌と同様に風通しがいいのだ。なるほど、高温多湿のこの国ならではの機能性を考えたものだということか。もちろんのこと、褌が下着としては最適だ。それは、浴衣の下はがらんどうだ。垂れた布は、そのまま垂らされる。小便もズボンと時と違い、問題ない。褌は着物のためにあった下着だったということか。
fundoshikimono.jpg

また、意外なことも発見した。褌はブリーフやトランクスに比べ、選択した後、長い布が一枚なので、干すとすぐに乾くのだ。洗濯に便利ということか。


百合子も浴衣を買った。女性の浴衣は帯の形が大きい。百合子のは黒くて花柄。ジャックは青い縞模様の柄。なんでも日本では、こんな浴衣は祭りの時でもないか限り、着ることはそんなにないという。確かにそうだ。日本に着て、着物姿の日本人を見ることが滅多にない。

祭りではないが、せっかく新調したのだ。百合子と一緒に浴衣を着て町を歩いてみることにした。ガイジンとその日本人妻の浴衣姿。通りがかりの人達は好奇の目で見る。まあ、予想したことだが。二人は海岸沿いを歩きながら、日本海を眺めた。潮風と潮の匂い、海のないモントリオールやトロントに住んでいたジャックにとっては、嬉しい風景でもあった。sea.jpg
来てよかった。何とか、泰蔵にも元気になって貰いたいと願った。もっとも、この町の人達には歓迎されてないようだから、泰蔵が元気になった時は、モントリオールに戻るしかないか。

二人きりで、海岸を歩いてのんびりとしていると、いつのまにか時間が過ぎてしまった。そろそろ夕暮れ時だ。かなり歩いた感じがする。戻って夕食を作って食べるより、どこかで食事をしようかと考えた。泰蔵は、宅配の夕食を食べるので問題ない。携帯で電話して、二人で外で食事をしてから戻ることを伝えた。

ジャックは、ある看板を見つけた。どうやら食事ができる店のようだ。看板には「食堂・居酒屋 日本男児」とあり、屋根瓦の純日本風の建物があった。
「ここで食事をしよう」とジャックが百合子に言う。すると、百合子が「ここで」とやや怪訝な顔をする。
「僕は腹がぺこぺこだよ」とジャック。百合子は、なぜか気乗りしない表情をしながら、「OK」と応えた。一体どういうことなのだろうか、と思いながら、ジャックは百合子と一緒に「日本男児」という店に入った。

第3章につづく。
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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

和装 | 20:54:03 | Trackback(0) | Comments(0)
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